タイトル
第39巻第7号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

空洞を呈した末梢型肺小細胞癌の1例

良元 章浩, 辻 博, 高桜 英輔, 渡辺 俊雄, 笠原 寿郎**, 藤村 政樹**
黒部市民病院内科, 同 呼吸器外科, **金沢大学第3内科

症例は81歳男性で,湿性咳嗽にて受診し,胸部レントゲン写真上左上肺野の異常陰影を指摘され入院となった.胸部CT上左S1+2に多房性の腫瘤を認めた.内部に空洞を伴い周囲に複数の小転移巣を伴っていた.小転移巣の1つにも空洞がみられた.喀痰細胞診,胸水細胞診にてclass V小細胞癌の所見が得られた.経気管支肺生検での病理組織所見では,小型で濃染性の核を有する細胞が多く,細胞質は狭小であり,小細胞癌と診断された.原発性肺癌での空洞形成率は,2~16%とされていて稀ではないが,ほとんどは扁平上皮癌,腺癌であり,小細胞癌という報告はほとんどない.本症例のように,多房性の腫瘍で,原発巣及び転移巣に空洞形成を呈した肺小細胞癌は,貴重な症例と考えられた.
索引用語:Small cell carcinoma of the lung, Cavity, Pulmonary metastasis, Multilocular mass

受付日:1998年8月16日
受理日:1999年10月29日

肺癌 39 (7):1001─1005,1999

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