タイトル
第39巻第7号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

胸壁浸潤肺癌が疑われた放線菌症の1例

湯浅 洋司
日立製作所水戸総合病院外科

症例は50歳男性.前胸部膨隆を主訴に当院を受診した.右前胸部に直径10 cmの膨隆があり,血液検査では炎症性反応が亢進していた.胸部X線写真で右肺に浸潤影を,CTで肺から胸壁にかけて直径10 cmの腫瘤陰影を認めた.胸壁浸潤肺癌が疑われたが,気管支鏡下擦過細胞診でも,経皮穿刺吸引,生検でも癌細胞を認めず,グラム染色で放線菌と思われる菌体を認めた.放線菌症疑いでペニシリンを投与したところ,約1ヵ月で腫瘤陰影は消失した.胸壁腫瘤の鑑別診断として,胸壁浸潤肺癌とともに,放線菌症も考慮に入れるべき疾患である.
索引用語:Chest wall, Actinomycosis, Lung cancer

受付日:1999年9月21日
受理日:1999年11月11日

肺癌 39 (7):1013─1016,1999

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