タイトル
第39巻第7号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

縦隔原発胚細胞性腫瘍に急性巨核芽球性白血病を合併した1例

高橋 伸宜, 岩神 真一郎, 蓮沼 紀一, 福地 義之助, 宮元 秀昭, 植草 利公**
順天堂大学呼吸器内科, 同 胸部外科, **関東労災病院病理部

症例は24歳,男性.健診で胸部X線上左中肺野に腫瘤影を指摘された.前縦隔に径8 cm大の腫瘍を認め,AFP,LDHが高値を示した事より,縦隔胚細胞性腫瘍と診断した.当初より著明な血小板減少を伴っており,治療前に腫瘍の組織学的診断は得られなかった.また骨髄穿刺,生検を行ったが,その原因は究明し得なかった.CDDP,VP-16,BLMによる化学療法を3クール施行後,AFP,LDH,血小板数は正常化し,根治を目的に腫瘍摘出術を施行した.術後,末梢血中に腫瘍細胞が出現し,骨髄生検,末梢血の腫瘍細胞の表面マーカーより急性巨核芽球性白血病(以後M7と略する)と診断した.化学療法,骨髄移植を行ったが,縦隔腫瘍発見後約11ヵ月で死亡した.近年縦隔原発胚細胞性腫瘍と血液悪性腫瘍の合併が独立した疾患概念として提唱されているが,本邦ではM7との合併例は本例を含め2例と非常に稀であり,貴重な症例と考えられた.
索引用語:Primary mediastinal germ cell tumor, Acute megakaryoblastic leukemia, Thrombocytopenia

受付日:1999年10月8日
受理日:1999年11月22日

肺癌 39 (7):1017─1023,1999

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