タイトル
第39巻第7号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

術前診断にCTとMRIが有用であった縦隔原発の脂肪肉腫の1例

遠藤 正浩, 宮本 良文, 吉村 雅裕, 高田 佳木, 坪田 紀明, 指方 輝正
兵庫県立成人病センター呼吸器グループ

比較的稀な縦隔原発の脂肪肉腫の1例を経験し,その術前診断にCT及びMRIが有用であったので,文献的考察を含め報告する.症例は,胸部異常影と嗄声を主訴に来院した59歳男性.胸部単純X線写真で右縦隔影の拡大と気管の左方への圧排像を認めた.CTでは,上縦隔から右頚部に進展するほぼ脂肪濃度の腫瘤を認め,一部鎖骨下の領域が不規則に造影される軟部濃度を呈していた.MRIでは,CTで脂肪濃度を呈していた領域の気管背部の領域は,正常の脂肪とほぼ同程度の信号強度を呈していたが,頚部の部分はそれよりT1,T2強調像共に僅かに信号強度が低く,脂肪含有量が少ないものと考えられた.鎖骨下の領域は,T2強調像が著明な高信号で,CTと合わせて粘液腫状の成分が示唆された.摘出標本は画像所見をよく反映し,病理組織学的に高分化型と粘液腫状型の混在した脂肪肉腫と診断された.
索引用語:Mediastinal tumor, Liposarcoma, Magnetic resonance imaging, Computed tomography

受付日:1999年5月17日
受理日:1999年11月29日

肺癌 39 (7):1025─1030,1999

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