タイトル
第40巻第1号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (510K)
Article in Japanese

─ 原著 ─

転移性肺腫瘍に対するNd-YAGあるいは半導体レーザーを用いた肺部分切除術

小檜山 律1, 阿部 典文1, 石原 照夫2, 松谷 章司3, 石田 博徳4, 岡田 晋一郎4, 長野 真4, 目黒 浩昭4, 宮田 道夫4
1NTT関東病院呼吸器センター外科, 2同 呼吸器センター内科, 3同 病理診断科, 4自治医大大宮医療センター外科

転移性肺腫瘍の肺部分切除術にレーザー(Nd-YAGおよび半導体レーザー)を使用した.1995年以来23例(37病変)に応用した.1~46カ月(平均21カ月)の観察期間で,断端再発は認めなかった.手術時間,出血量からは,やや手術侵襲は大きくなるものの,局所コントロールに関しては,staplerを用いる一般的方法(胸腔鏡手術も含む)と比較し,有意に優れていた.その理由として(1)腫瘍から一定の距離をとって,必要充分な切除ができる,(2)切除断端の病理検索が容易,(3)レーザーそのものの殺細胞効果等が挙げられる.切離面の組織学的検索で,約2.5 mmの不可逆性壊死性変化が観察されている.さらに残存肺の変形をきたさないため,肺機能温存にも有用であった.レーザーによる部分切除術は,局所コントロールと肺機能温存の双方を満足させうる優れた方法と考えられる.なお今後は半導体レーザーがNd-YAGレーザーにかわって用いられる傾向になると思われる.
索引用語:Metastatic lung tumor, Partial lung resection, Nd-YAG laser, Diode laser, Local recurrence

受付日:1999年11月16日
受理日:2000年1月5日

肺癌 40 (1):39─44,2000

ページの先頭へ