タイトル
第40巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

非小細胞肺癌におけるムチンコア蛋白MUC1発現の免疫組織化学的検討

橋本 博史1, 高橋 博人1,2, 佐川 元保2, 佐藤 雅美2, 遠藤 千顕2, 桜田 晃2, 相川 広一2, 佐藤 伸之2, 斎藤 泰紀3, 藤村 重文2
1自衛隊仙台病院外科, 2東北大学加齢医学研究所呼吸器再建研究分野, 3国立仙台病院呼吸器外科

非小細胞肺癌切除例197例を対象とし,モノクローナル抗体MUSE11を用いた免疫組織染色法により腫瘍性MUC1の発現について検討した.同時にモノクローナル抗体FH-6を用い,両者の発現の相関についても検討を行なった. MUSE11の組織型別陽性率は腺癌80例中72例90%,扁平上皮癌95例中49例51.1%,大細胞癌22例中12例54.5%であり,腺癌は扁平上皮癌,大細胞癌より有意に高い陽性率を認め,MUSE11は肺腺癌のマーカーとなり得ることが示唆された.MUSE11の発現とT因子,N因子,病理病期,分化度,予後との間に有意な相関は認められなかった.MUSE11とFH-6の発現は有意に相関し,MUSE11陰性でFH-6陽性であった症例は15例のみであった.大腸癌ではsialyl-Lewis xの一部がMUC1のコア蛋白上に存在することが判明しているが,ヒト肺癌組織においてもそのような関係が存在することが示唆された.
索引用語:MUC1, MUSE11, FH-6, Lung cancer, Immunohistochemistry

受付日:1997年8月6日
受理日:2000年1月25日

肺癌 40 (2):85─91,2000

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