タイトル
第40巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

低線量らせんCTによる肺癌1次検診のパイロット・スタディー

吉村 明修1, 安藤 真弘1, 工藤 翔二1, 渡 潤2, 田島 廣之2, 隈崎 達夫2, 松本 満臣3, 矢野 侃4, 宮本 忠昭5, 松本 徹5
1日本医科大学第4内科, 2同 放射線科, 3東京都立保健科学大学, 4財団法人荒川区がん予防センター, 5放射線医学総合研究所

1996年6月から12月にらせんCTによる肺癌1次検診(CT検診)のパイロット・スタディーを実施した.同期間の通常肺癌検診受診者のうち,さらにCT検診の受診を希望した1,880名を対象とした.CT検診は,検診用低線量らせんCTにより1回呼吸停止にて全肺野をスキャンした.要精検者は431名(22.9%),CT検診e判定(肺癌あるい肺癌疑い)による要精検者は298名(15.9%),精検受診者は418名(97.0%)であった.8例の肺癌が発見され(発見率0.43%),このうち通常検診発見例は2例のみであった.CT検診の陽性反応適中度は0.027であった.全例末梢発生腺癌で平均腫瘍径17 mm(8~25 mm),10 mm以下の小型肺癌も3例検出された.臨床病期はIA期5例,IB期1例,IIIA期1例,IV期1例であった.I期例はすべて外科療法を施行された.らせんCTは末梢発生肺癌の検出に優れ肺癌検診の将来有望な方法であることが示された.一方,陽性反応的中度を改善するためには,CT検診の経年受診システムと比較読影方法の確立が必要と考えられた.
索引用語:Lung cancer screening, Low-dose spiral CT, Early detection, Small lung cancer, Positive predictive value

受付日:1999年10月4日
受理日:2000年2月14日

肺癌 40 (2):99─105,2000

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