タイトル
第40巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

非喫煙女性の放射線治療後に発生した気管扁平上皮癌の1例

石和 直樹1,3, 山田 耕三1, 中山 治彦1, 野田 和正1, 亀田 陽一2, 前原 孝光3
1神奈川県立がんセンター呼吸器科, 2同 検査第1科, 3横浜市立大学第1外科

症例は喫煙歴のない52歳の女性.13年前に右乳癌に対し定型的乳房切除術施行,その後60 Gy(60Co)の放射線療法を受けた.1998年7月頃より喘鳴出現.近医で喘息として加療されるも改善なく,呼吸困難が増強したため,10月29日当科受診となった.気管支鏡検査では,声帯より6軟骨輪末梢に内腔に突出する腫瘍を認め,CTで狭窄の長さは約2.5 cmであった.11月29日気管管状切除術を施行,組織型は低分化扁平上皮癌であった. 本症例は,(1)第1癌と組織像が異なり,(2)放射線照射野の別臓器に発生し,(3)潜伏期も13年と長く,最も確信度の高いとされる放射線誘発悪性腫瘍の定義をみたしている.配偶者に喫煙歴がみられるものの,非喫煙者の女性に発症した気管扁平上皮癌であることより,放射線誘発悪性腫瘍である可能性が極めて高いと考えられた.
索引用語:Tracheal tumor, Squamous cell carcinoma, Radiation induced malignancy, Radiotherapy, Breast cancer

受付日:1999年10月13日
受理日:2000年2月4日

肺癌 40 (2):133─137,2000

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