タイトル
第40巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

球状腫瘤で発見された薄壁空洞形成肺扁平上皮癌の1切除例

狭間 研至, 明石 章則, 前畠 慶人
宝塚市立病院 呼吸器外科

症例は59歳,男性.高血圧で近医通院中,胸部レントゲン写真で壁不整な空洞を伴う腫瘤影を認めていたが,球状腫瘤に進展したために胸腔鏡下切除を希望して当科紹介となった.術中迅速病理診断で扁平上皮癌の診断を得,直ちに開胸下に右下葉切除と縦隔リンパ節郭清を施行した.腫瘍は50×30×30 mmで内部に空洞を形成し,白色の粥状物質が充満していた.空洞の最大壁厚は5 mmであった.空洞壁および内容物ともに扁平上皮癌が認められた.本症例は,腫瘍の内部壊死により薄壁空洞が形成された後,分泌物や増生した腫瘍細胞が充満し球状腫瘤に変化した稀な肺癌症例と考えられた.薄壁空洞を伴う肺腫瘍症例では悪性疾患を念頭におき胸腔鏡下切除を含めた積極的な治療が必要と思われた.
索引用語:Lung cancer, Thin-walled cavity, Round shadow, VATS

受付日:2000年1月5日
受理日:2000年3月1日

肺癌 40 (2):149─152,2000

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