タイトル
第40巻第3号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (494K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

ポリープ状に気管内へ進展した左上葉原発Pleomorphic Carcinomaの1例

岩丸 有史, 安彦 智博, 堀之内 宏久, 向井 万起男, 小林 紘一
慶應義塾大学医学部外科, 同 病理診断部

症例は71歳.女性.咳と呼吸困難で当院へ転院.胸部X線で左無気肺を認めた.気管支鏡では左主気管支より白色調の腫瘍が気管下端に向けて突出しており,この腫瘍に対し上部消化管用高周波スネアを用いて,気管支内腫瘍切除を行った.計5回の気管支鏡下治療を施行したところ左下葉支が開通し,左上葉原発の腫瘍が気管支内腔から気管へと進展し,左肺の無気肺をひきおこしていたことが判明した.手術は左上葉切除を行い,断端は陰性であった.病理組織学的には,紡錘形となった腫瘍細胞の束状配列や,多核巨細胞が多数出現した肉腫様部分が存在することから,左上葉原発のpleomorphic carcinomaと診断された.pleomorphic carcinomaは1994年にFishbackらが78例を検討して報告しているが,WHO分類においては1999年のHistological Typing of Lung and Pleural Tumors(3rd editions)で初めて提唱された腫瘍組織型である.以前に肉腫や癌肉腫と混同されていた本組織型は,今後症例が増加していく可能性があるものと考えられる.
索引用語:Pleomorphic carcinoma, Bronchial tumor, Electrosurgical snaring

受付日:1999年11月24日
受理日:2000年3月8日

肺癌 40 (3):207─211,2000

ページの先頭へ