タイトル
第40巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

原発巣と同一肺葉内に多発する転移巣を有し長期生存が得られた原発性肺癌の1切除例

松本 英彦, 小川 洋樹, 豊山 博信, 柳 正和, 西島 浩雄, 愛甲 孝
鹿児島大学第一外科

症例は62歳男性.微熱・血痰を主訴に来院した.胸部X線写真,CTで右肺門部の腫瘤影と下肺野に多発性の結節影を指摘された.縦隔リンパ節郭清を伴う右中下葉切除が施行され,主病巣と同一肺葉内に多数の肺内転移をともないp-T4N0M0, Stage IIIB中分化型の扁平上皮癌と診断された.本症例の同一肺葉内の多発肺内転移様式として,従来より提唱されている肺動脈を介しての肺内転移のみならず経気道性の播種性散布も示唆された.その根拠は主病巣が右B8とB9+10分岐の気管支壁より発生しB8とB9+10気管支内腔へそれぞれ進展しており,末梢S8,9の2区域内に多発する12個(最小2×2 mm,最大14×7 mm)の肺内転移巣のうち数ヶ所に末梢気管支内腔からの気管支壁への腫瘍の浸潤が認められたことである.本症例は術後12年という長期にわたり生存した.
索引用語:Intrapulmonary metastasis, Multiple nodules in the same lobe, Lung cancer, Long time survival

受付日:2000年1月21日
受理日:2000年3月8日

肺癌 40 (3):213─218,2000

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