タイトル
第40巻第4号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (322K)
Article in Japanese

─ 原著 ─

長期経過を有する検診発見肺癌の検討:組織型との関連,および,そのエックス線所見について

齋田 幸久1, 鯨岡 結賀2, 渕上 隆3, 柳内 登4, 斎藤 洋子5
1筑波大学臨床医学系, 2筑波記念病院放射線科, 3協和中央病院検診センター, 4国立晴嵐荘病院外科, 5茨城県総合健診協会

組織学的に確診された検診発見肺癌252例を対象とし,間接胸部単純エックス線写真上の病変の描出期間,およびそのエックス線像について検討した.組織学的内訳は腺癌112例,扁平上皮癌86例,その他の組織型54例であった.病変の1年前陽性率は全肺癌を対象として60%,2年前24%,3年前12%,4年前4%であった.組織型でみると,腺癌では1年前陽性率80%,2年前50%,3年前31%.一方,扁平上皮癌は1年前陽性率は42%,2年前7%,3年前4%であった.3年,または,それ以前から陽性であったものは全部で19例で,18例がStage Iの5例を含む腺癌であった.胸部エックス線上,初回時に大きさ15 mm以下の大きさの陰影として示されることが多く,これらの小病変のうち,2年前または3年前に陽性であった腺癌ではその80%が輪郭不明瞭な淡い陰影として描出された.これら小さな輪郭不明瞭な淡い陰影の拾い上げがスクリーニングには特に重要であり,緩徐発育を示す腺癌では陰影の経時変化についての判断も慎重でなければならない.
索引用語:Lung neoplasms, Lung cancer, Mass screening, Radiography

受付日:2000年2月9日
受理日:2000年6月26日

肺癌 40 (4):247─253,2000

ページの先頭へ