タイトル
第40巻第4号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (346K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

胸部CTにて偶然発見された胸部写真陰性肺癌の2手術例

山本 智子, 八田 健, 西尾 渉, 絵野 幸二, 馬庭 幸二**
兵庫県立淡路病院外科, 放射線科, **内科

症例1:77歳,女性.右乳房痛を主訴に来院.胸部X線写真上異常はなかったが,胸部CTでは,右S8に淡い1 cm大の結節がみられた.1カ月後,腫瘤が増大したため生検を行い,組織学的に腺癌と判明した.症例2:59歳,女性.左上肢外傷にて手術中,喘息発作を発症.胸部X線写真で異常陰影は認められなかったが,CTでは左舌区に6 mm大の結節が見られた.2カ月毎に胸部Thin-Slice CTにて経過観察していたところ,腫瘤径増大と,濃度上昇が軽度ながら認められたため,6カ月後肺癌を疑い胸腔鏡下生検を施行した.術中迅速診断で,腺癌と判明したため舌区切除を行った.胸部CTで発見された,良悪判定困難な小結節陰影に対する経過観察は,充実性腫瘤と含気性腫瘤でやや異なり,前者では発見後3カ月間は1カ月毎,その後は2カ月毎の,後者は当初より2カ月毎のThin-Slice CT撮影により行う.何れの場合も,病巣陰影の微細な変化を見過ごすことなく発見し,胸腔鏡生検を行うことが質的診断,治療のために重要である.
索引用語:Peripheral lung cancer, Noguchi's classification, Thin-Slice CT

受付日:2000年1月5日
受理日:2000年5月25日

肺癌 40 (4):311─314,2000

ページの先頭へ