第40巻第6号目次 | Japanese/English |
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─ 原著 ─
造影剤を使用した薄層スライスCTによる肺癌の縦隔リンパ節の質的診断
石和 直樹1,4, 山田 耕三2, 中山 治彦1, 伊藤 宏之1, 尾下 文浩2, 野村 郁男2, 野田 和正2, 亀田 陽一3, 前原 孝光4, 高梨 吉則41神奈川県立がんセンター 呼吸器科外科, 2同 呼吸器科内科, 3同 検査第1科, 4横浜市立大学第1外科
肺癌の術前における縦隔リンパ節の質的診断の正診率を向上する目的で,造影薄層スライスCTを使用して,リンパ節の大きさと,その内部所見や外形所見を考慮した評価を行った.対象は当センターにおいて術前1週間以内にCTが施行され,ND2a以上の郭清を行った原発性肺癌110例である.リンパ節転移陽性の診断規準は,(1)短径10 mmを越える,(2)長径が短径の2倍を越えない(扁平ではない),(3)内部が均一に造影される,の3項目をみたすものとした.その結果,specificityが94.6%,accuracyが89.7%と従来の報告に比べ改善した.リンパ節の内部所見では,内部が低濃度で見かけ上ドーナツ状を呈するものは,大きさに関わらず全て転移を認めなかった(doughnut sign).しかし腺癌のfalse negativeを減らすことはできず,sensitivityは55.2%と改善しなかった.腺癌では,病理学的に癌がリンパ節全体に対して占める割合(腫瘍占拠率)が50%未満のものは,転移診断能が有意に不良であり,このような微小リンパ節転移を診断するためには他のmodalityとの併用が必要と考えられた.
索引用語:Lung cancer, Thin section computed tomography, Mediastinal lymph node, Staging
受付日:2000年4月17日
受理日:2000年7月14日
肺癌 40 (6):593─599,2000