タイトル
第40巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

術後に気管壁内転移を来した末梢型肺腺癌の1例

瀬川 正孝1, 草島 義徳1, 中村 裕行2, 杉原 政美3, 齋藤 勝彦4
1富山市民病院胸部血管外科, 2同 内科, 3同 放射線科, 4同 病理科

末梢型肺腺癌の術後に,稀な再発形式である気管壁内転移を来した1例を経験した.症例は65歳男性.1995年に右肺S1a原発の腺癌にてS1+S2a区域切除および縦隔郭清術を受けた.pT1N0M0のstage IAの低分化型腺癌であった.3年9ケ月後に,血痰を主訴に再来した.気管支鏡検査にて,中部気管に長径3.0 cm,表面平滑で赤色,無茎性の粘膜下腫瘍を認めた.気管左側壁より発生し,内腔の半分を占めるように突出していた.腫瘍は気管壁内に限局しており,周囲リンパ節腫大や遠隔転移はみられなかった.組織生検により肺癌の気管転移を疑った.気管を縦切開し,腫瘍を摘出した.術後に60 Gyの照射を施行した.肺野病巣と気管病巣はともにCEA産生型低分化型腺癌で,両者は組織学的に酷似しており,また治療により血清CEA値が低下した.以上より,末梢型肺腺癌の気管壁内転移であると診断した.
索引用語:Lung cancer, Adenocarcinoma, Peripheral, Postoperative recurrence, Tracheal metastasis

受付日:2000年3月9日
受理日:2000年6月7日

肺癌 40 (6):633─637,2000

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