タイトル
第40巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

活動性肺結核合併肺癌手術症例の検討

坪田 典之, 谷口 清英
国立療養所高松病院外科 現)倉敷成人病センター

近年,肺癌患者の増加とともに肺結核患者も増加している.肺癌と肺結核の合併頻度は高く,今後両者の合併例は増加すると考えられる.活動性肺結核を合併した肺癌手術症例3例を経験したので報告する.症例1:71歳男性,腺癌(IB期),右上葉切除術後9年生存中.症例2:44歳女性,腺様嚢胞癌(IIB期),右中下葉切除術+放射線治療後6年生存中.症例3:79歳男性,扁平上皮癌(IA期),左上葉切除術後10カ月生存中.症例1は術後に活動性肺結核合併が判明.症例2,3では術前に結核化学療法を1カ月間施行し,排菌の無い状態で手術を施行できた.3例とも合併症なく経過し,術後の結核治療で肺結核も治癒しえた.肺癌・肺結核同時合併例であっても,診断が早期になされれば両者とも通常の治療成績,予後が期待できると考えられた.胸部異常影については肺癌のみならず,肺結核や両者の合併を念頭に置いて診断を進める必要がある.
索引用語:Lung cancer, Pulmonary tuberculosis

受付日:2000年1月24日
受理日:2000年6月7日

肺癌 40 (6):639─643,2000

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