第40巻第6号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
CEA高値がみられた肺野末梢型腺様嚢胞癌の1切除例
松本 英彦, 柳 正和, 西島 浩雄, 下高原 哲朗, 富加見 章*, 愛甲 孝鹿児島大学第1外科, *国立指宿病院外科
症例は66歳,女性.胸部異常陰影を主訴に来院した.胸部X線写真・CTで右中葉に2 cm大の辺縁不整な結節影を認めた.術前に組織学的診断は得られなかったが,血中CEAが12.1 ng/mlと高値で画像上も悪性を否定できないため右中葉切除を施行した.肺門リンパ節・同一肺葉内転移を伴う腺様嚢胞癌で,p-T4N1M0,Stage IIIBと診断された.術後CEA値は低下し,切除病巣の免疫染色でもCEAの発現を確認した.文献的に,肺の腫瘤影で発見されるいわゆる肺野末梢型の腺様嚢胞癌の報告例は非常に少なく本邦でも10例を数えるのみである.またCEA上昇例も本例を含めてわずか3例であり,いずれもリンパ節または遠隔転移を有していたことより,末梢型腺様嚢胞癌の血中CEA値は悪性度あるいは進展度の指標になり得ると思われた.
索引用語:Adenoid cystic carcinoma, Peripheral, Lung cancer, High value of CEA
受付日:2000年1月21日
受理日:2000年6月8日
肺癌 40 (6):645─649,2000