タイトル
第40巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

低用量CDDP・5-FU併用の術前放射線治療を行った前後方向アプローチによるパンコースト型肺癌の1切除例

沖津 宏, 武知 浩和, 山井 礼道, 田渕 寛, 佐尾山 信夫, 吉田 沖
国立善通寺病院外科, 臨床研究部

低用量CDDP・5-FU併用の術前放射線治療を行い前後方向アプローチによるパンコースト型肺癌の1切除例を経験したので報告する. 症例は63歳,男性で右肩より上肢尺側の疼痛を主訴とした.von Recklinghausen氏病の既往があった.諸検査にて右上葉S1発生のパンコースト型肺癌で,肺尖部骨性胸壁(第1,2肋骨ほぼ全周)より右鎖骨下動静脈,下位腕神経叢に浸潤が及び,cT3N0MO(adenoca.)と診断した.術前療法として低用量CDDP(10 mg/bodyを毎週第1~5日に投与を4週)・5-FU(500 mg/bodyを連日投与)の投与と放射線(LINAC40GY)との同時併用療法を行った.画像上,腫瘍の縮小はPRであり,主訴は消失した.手術は前後方向のアプローチにて行った.前方より頸部郭清後,第1,2肋骨胸骨付着部を切離し,鎖骨下動静脈,下位腕神経叢の合併切除を行い動脈のみ再建した.後方より開胸し,第1,2肋骨の椎体側を切断した後に,右上葉とともにen-blocに切除した.病理所見は低分化腺癌で第1肋骨,鎖骨下動脈外膜,下位腕神経叢周膜の一部にviableな癌の残存を認めた.しかし,肺原発巣では広汎な壊死,線維化を呈しEf. 2以上の治療効果が得られた.右頸部及び鎖骨上窩リンパ節に33個中1個に転移を認め,pT3N3M0であった.術後3年10カ月の現在,再発を認めていない.
索引用語:Concurrent induction chemoradiotherapy, Continuous infusion of low dose cisplatin and 5-Fluorouracil, von Recklinghausen disease, Pancoast tumor, Adenocarcinoma

受付日:2000年5月15日
受理日:2000年10月10日

肺癌 40 (7):777─781,2000

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