 |
第41巻第1号目次 | Japanese/English |
 | Full Text of PDF (92K) Article in Japanese |
─ 原著 ─
術後再発および予後からみた病期I期非小細胞肺癌病期分類の問題点
矢満田 健, 椎名 隆之, 牧内 明子, 蔵井 誠, 近藤 竜一, 沼波 宏樹, 高砂 敬一郎, 町田 恵美, 羽生田 正行, 天野 純信州大学第2外科
1997年の肺癌TNM分類の改訂によりI期のA，Bへの細分化が行われた．1982年から1999年に当科で標準手術が施行された病理病期I期非小細胞肺癌390例の術後再発および予後より，病期I期非小細胞肺癌の病期分類の問題点について検討した．今回の改訂で細分されたIAおよびIB期の5年生存率は，それぞれ81.2％，64.9％また術後再発率は11.8％，19.5％で病期IA期が有意に予後良好であった．組織型別に予後をみるとIB期扁平上皮癌の5生率が53.0％と他に比べ予後不良であった．IA期について腫瘍径別に予後を検討すると，10 mm以下の36例は全例無再発生存中で有意に予後良好であった．IB期については腫瘍径31～50 mmと51 mm以上の2群の予後に差を認めなかった．腫瘍径30 mm以下で胸膜浸潤によりIB期になった34例の5生率は81.3％でIA期肺癌の成績と同等であった．病期分類をあまり複雑化するのも適当ではないが，腫瘍径，組織型等を考慮した一歩進めた病期I期の細分化も考慮すべきではないかと思われた．
索引用語：Non-small cell lung cancer, Neoplasm staging, Stage I, Postoperative recurrence, Prognosis
受付日：2000年9月22日
受理日：2000年12月6日
肺癌 41 (1)：27─31，2001
