タイトル
第41巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

pN2非小細胞肺癌の術後放射線照射による局所制御と予後

清水 わか子1), 奥村 敏之2), 鬼塚 正孝3), 石川 成美3), 山本 達生3)
1)癌研究会付属病院放射線治療科, 2)茨城県立中央病院放射線科, 3)筑波大学臨床医学系

非小細胞肺癌pN2症例における術後放射線照射の意義をretrospectiveに解析する.(対象と方法)1993年1月より1998年10月までに術後照射が行われた病理学的N2であった非小細胞肺癌31例を対象とした.男女比は23:8,平均年齢60.6歳,腺癌18,大細胞癌5,扁平上皮癌8であった.照射は術後平均30.1日で開始された.6MVまたは10MV-リニアックX線で切除断端・縦隔・両鎖骨上窩を含むT字照射野で46~50Gy/23~28回/5~6週,断端陽性または近接例では10~14 Gy/5~7回/1~2週を追加し総線量を60 Gyとした.平均経過観察期間は39.1カ月であった.(結果)3年累積全生存率(OAS)65.6%,3年無病生存率(DFS)40.7%,3年局所制御率(LC)77.3%であった.非扁平上皮癌では20例(87.0%)がT1-2であったが,扁平上皮癌は4例(50.0%)がのみであった.またOAS,DFS,LCは扁平上皮癌で87.5%,100%,100%,非扁平上皮癌で61.8%,35.1%,70.5%であり,DFSで有意差が認められた.(結論)扁平上皮癌では術後照射による局所制御が予後を改善すると考えられるが,非扁平上皮癌では,遠隔転移が予後因子であり,術後照射の有用性は認められなかった.
索引用語:Non-small cell lung cancer, pN2, Postoperative irradiation, Non-squamous cell carcinoma, Distant metastasis

受付日:2000年5月26日
受理日:2000年12月20日

肺癌 41 (1):33─37,2001

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