タイトル
第41巻第1号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (112K)
Article in Japanese

─ 原著 ─

原発性肺癌におけるThyroid Transcription Factor-1(TTF-1)発現の免疫組織化学的検討

石和 直樹1,2, 中谷 行雄1, 稲山 嘉明1, 渡部 克也2, 前原 孝光2, 林 康史2, 高梨 吉則2
1横浜市立大学医学部附属病院病理部, 2横浜市立大学第1外科

原発性肺癌140例を対象とし,パラフィン切片を使用した免疫組織化学染色にてThyroid Transcription Factor-1(TTF-1)の発現について検討した.肺腺癌に関しては,分化度・組織亜型との関連性についても検討した.また肺腺癌と他臓器の腺癌との発現を比較し,TTF-1の肺腺癌組織診断マーカーとしての有用性を検討した.正常肺組織においてTTF-1は,II型肺胞上皮細胞,Clara細胞,一部の細気管支粘膜上皮基底細胞の核に陽性であった.原発性肺癌におけるTTF-1の陽性率は,腺癌83%(50/60),小細胞癌67%(20/30),扁平上皮癌8%(3/40),大細胞癌20%(2/10)であった.肺腺癌に関しては,分化度とTTF-1発現に有意な相関がみられ,また組織亜型ではpapillary typeがtubular typeよりも有意に陽性率が高かった.他臓器の腺癌では,甲状腺癌が93%で陽性になる以外では,90例中大腸癌の1例に陽性例を認めたのみであり,TTF-1は肺腺癌の組織診断マーカーとして極めて有用であると思われた.
索引用語:Thyroid transcription factor-1 (TTF-1), Lung cancer, Extrapulmonary adenocarcinoma, Immunohistochemistry (IHC)

受付日:2000年9月27日
受理日:2001年1月5日

肺癌 41 (1):45─49,2001

ページの先頭へ