タイトル
第41巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

原発性肺癌における縦隔鏡の適応と治療方針

木村 秀樹, 岩井 直路, 柿澤 公孝, 安藤 総一郎, 千代 雅子
千葉県がんセンター呼吸器科

原発腫瘍径,CTでの縦隔リンパ節腫大の有無,初診時の腫瘍マーカーを参考にして縦隔鏡(Video-assisted Mediastino-scopy:VAM)の適応基準を作り,これに則ったVAMを施行することにより,肺癌の治療方針決定に寄与し得るかを検討した.対象は当科に入院し治療を受けた原発性肺癌217例のうち75歳以下,病期IIIA期までの総合的治療プログラムに適応した111例である.このうちVAMの適応になった症例が66例,ならなかった症例は45例で,前者はVAMを行い,45例が陰性でそのうち43例に手術が行われ,21例の陽性例は化学療法2クール後,効果判定により9例が手術,残り12例には放射線照射を行った.VAM非適応の後者はそのまま手術を行った.VAM陰性の43切除例のうち3例にN2が認められたが,1例は左肺癌の#5(ボタローリンパ節)転移でありその他2例はfalse negativeの誤診例であった.VAM非施行例で切除になった45例のうち2例がN2であったがいずれも右上葉肺癌の#3リンパ節転移であった.縦隔鏡の適応基準を設けることで肺癌の治療方針決定に寄与し得ると考える.
索引用語:Lung cancer, N2 disease, Mediastinoscopy, Surgery

受付日:2000年8月16日
受理日:2001年1月9日

肺癌 41 (1):59─63,2001

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