第41巻第1号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
原発不明縦隔リンパ節転移腺癌の1治験例―本邦報告例21例の検討―
守尾 篤,宮元 秀昭,泉 浩,王 志明,山崎 明男,細田 泰之順天堂大学胸部外科
縦隔リンパ節転移のみを認めた稀な原発不明腺癌の1例を経験した.症例は35歳,男性.咳嗽,発熱を主訴に近医を受診し,胸部CTにて中縦隔腫瘍の診断で当科紹介入院.胸骨正中切開下に腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は径7 cm大であり,右#2,#3,右#4リンパ節が一塊となったものであった.術中迅速病理診断は低分化型腺癌リンパ節転移であったため両側縦隔郭清を施行し右#1リンパ節にも転移を認めた.術後の全身検索にて明らかな原発巣を確認できなかった.術後早期に右頸部に再発したため右頸部郭清を施行し放射線治療(50 Gy)を追加した.再切除後27カ月間経過した現在,再発や原発巣出現の徴候なく健在である.本症例は稀なT0N2M0原発性肺癌が考えられ,今後も全身検索を含めた厳重な経過観察が必要である.縦隔リンパ節転移のみを認めた原発不明癌は本邦では自験例を含め21例であり,完全切除により予後が向上すると考えられた.
索引用語:Adenocarcinoma of unknown origin, Mediastinal lymph nodes metastasis, T0 lung cancer
受付日:2000年10月17日
受理日:2000年11月20日
肺癌 41 (1):73─78,2001