タイトル
第41巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺癌切除例における限局性間質性肺炎所見の発現と術後間質性肺炎に関する検討

千田 雅之, 半田 政志, 小野 修一, 高橋 里美, 谷田 達男**, 近藤 丘**
仙台厚生病院外科, 東北大学加齢医学研究所機能画像, **東北大学加齢医学研究所呼吸器再建

肺癌手術後の致死的合併症として急性間質性肺炎(AIP)は重要であり,その発症に限局性のinterstitial pneumonia(IP)の関与が指摘されている.今回,特に限局性IPに着目し,術前CTから術後AIP発症の高危険群を同定しうるかを目的とし,病理学的なIPに相当するCT所見(IP所見)の有無を検討した.当科にて96年から98年までの3年間に手術を施行した肺癌症例は553例.この間の術後AIP発症例は9例(1.6%)であり,死亡例は6例であった.9例のうち8例に術前CT上限局性IP所見を認めたが,術前に間質性肺炎と診断されていた症例はなかった.一方,術前胸部CTを再読影し得た303例の検討では,IP所見を肺癌切除例の11.9%に認めた(びまん性2.3%,限局性9.6%).術後AIP発症率は,IP所見を認める症例から11.8%,IP所見を認めない症例から0.2%と,有意に術前CTにてIP所見を有するものに発症率が高かった.限局性であっても術前CTにてIP所見を有するものは,術後間質性肺炎を発症する可能性があり,注意が必要と考えられた.
索引用語:Localized interstitial pneumonia, Acute interstitial pneumonia, Postoperative complication, Thoracotomy, Acute exacerbation

受付日:2000年9月21日
受理日:2001年1月29日

肺癌 41 (2):105─109,2001

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