タイトル
第41巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

非小細胞肺癌の多発脳転移に対するGamma Knife治療成績―全脳照射を中心とした集学的治療法との比較―

芹澤 徹, 井内 俊彦, 小野 純一, 大里 克信
千葉県循環器病センター脳神経外科, 千葉県がんセンター脳神経外科

非小細胞肺癌の多発脳転移に対するgamma knife radiosurgery(GKS)の治療成績を,従来の全脳照射を中心とする集学的治療とretrospectiveに比較検討した.対象は,千葉県循環器病センターと千葉県がんセンターで治療した非小細胞肺癌の脳転移患者302例のうち,1.初診時MRIで10個以下の多発脳転移病巣を有する,2.摘出不可能な30 mm以上の脳病巣がない,3.癌性髄膜炎がない,4.頭蓋外病巣の予後が3カ月以上を期待できる,4条件をそなえた連続100例である.この100例をGKS群66例と全脳照射(whole brain radiation therapy,WBRT)群34例の2群に分類して検討した.GKS群では,30 mm以上の病巣には開頭腫瘍摘出術を施行し,30 mm未満の病巣にはGKS治療を行った.その後,予防的WBRTを施行せず,新病巣出現時には適宜GKSによるsalvage治療を行った.WBRT群では手術可能病変に摘出術を施行後,WBRTを行った.全生存期間(overall survival),神経死を免れる期間(neurological survival),頭蓋内病変が原因でKPS scoreが70未満へ低下しない期間(qualitative survival)のいずれにおいても,GKS群はWBRT群に比し有意に良好であった.非小細胞肺癌の10個以下の多発性脳転移に対し,一定の条件を満たせば,予防的WBRTを施行しなくても,GKS単独治療は第一選択になりうる.
索引用語:Gamma knife, Multiple cerebral metastases, Non-small cell lung cancer, Whole brain radiation therapy, Radiosurgery

受付日:2001年1月5日
受理日:2001年2月15日

肺癌 41 (2):123─129,2001

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