タイトル
第41巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

中枢発生気管支カルチノイド:気管支壁深達度のHRCT所見と病理所見を対比した2例

松隈 治久1), 横井 香平1), 安楽 真樹1), 神山 由香理1), 森 清志1), 津浦 幸夫2)
1)栃木県立がんセンター 呼吸器科, 2)同 病理

中枢の気管支腔内にポリープ状に発育する定型的カルチノイドの2症例について,HRCT所見と病理所見を比較検討した.1例は61歳男性で,左主気管支内腔をほぼ閉塞する可動性のあるポリープ状の腫瘍を有し,他の1例は39歳男性で,右中間気管支幹内腔を占める可動性のあるポリープ状腫瘍を認め,両者とも生検にて定型的カルチノイドと診断された.術前に行われた造影HRCTではいずれも気管支内腔に軽度の造影効果を有する腫瘍としてとらえられ,明らかな壁外進展の所見は認めなかった.前者は残存肺の再膨張が得られず肺全摘術を,後者は中間気管支幹管状切除術を施行した.切除標本の病理検査では両者とも細い茎(8 mm,9 mm)を有しほぼ全体が気管支腔内に存在する腫瘍であったが(大きさ3.5×1.8×1.2 cm,2.0×1.3×1.0 cm),いずれもわずかに気管支軟骨の外側にまで腫瘍浸潤を認めた.HRCTにて明らかな壁外成分や気管支壁の肥厚や不整所見を示さなかったが,病理学的には気管支軟骨外まで浸潤していた中枢発生定型的気管支カルチノイド症例を2例経験したので報告した.
索引用語:Bronchial carcinoid, Bronchoscopy, High-resolution computed tomography

受付日:2000年10月12日
受理日:2001年1月17日

肺癌 41 (2):143─146,2001

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