タイトル
第41巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

触知不能Ground-Glass Attenuationに対する経気管支鏡的色素注入による術前マーキングを行った1例

阪本 俊彦, 坪田 紀明, 松岡 英仁, 高田 佳木, 遠藤 正浩, 小谷 義一
兵庫県立成人病センター呼吸器グループ

症例は45歳,女性.胸痛を自覚し,近医を受診した際に胸部CTで異常影を指摘され,精査加療目的で当院に紹介となった.胸部CTでは右S3aに径15 mmのスリガラス様陰影を認めた.気管支鏡下擦過細胞診の結果は異型性腺腫様過形成または肺胞上皮癌であった.胸腔鏡下手術に際し,視触診は困難と判断し,腫瘍のマーキングを行うこととした.手術前日にCT透視下経気管支鏡的に散布チューブを用いて,インジゴカルミン0.5 mlを腫瘍近傍の胸膜直下に注入した.本手技による合併症はなかった.胸腔鏡にて濃染しているマーキング部位が明瞭に観察された.胸腔鏡補助下にS2b + S3a区域切除を行った.病理診断は野口B型腺癌であった.経気管支鏡的色素マーキングはCT下経皮的マーキングと比べ,気胸,フックワイヤーの脱落等の合併症がないため,手術までの時間的制約が少ない.また,穿刺困難部位も経気道的に到達できるため,マーキング部位に制限は少ない.本法は,CT下経皮的マーキングの欠点を補った有用な手技と考えられた.
索引用語:Marking, Lung nodules, VATS, Transbronchial approach

受付日:2000年11月30日
受理日:2001年1月18日

肺癌 41 (2):147─149,2001

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