タイトル
第41巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

胸腔鏡下中葉切除術を施行したACTH産生腫瘍の1例

佐藤 庸子, 笹野 進, 村杉 雅秀, 櫻庭 幹, 大貫 恭正, 新田 澄郎
東京女子医科大学第1外科

Cushing症候群を呈する異所性ACTH産生肺カルチノイドに対し,胸腔鏡下肺葉切除術を施行した一例を経験したので報告する.症例は76歳の女性.1991年Cushing症候群を発症,内服加療されていたが1994年3月,症状増悪を認め当院内科に入院,異所性ACTH産生腫瘍と診断されたが原因病巣は不明であった.1996年胸部CT上1 cmに満たない肺内腫瘤を認め経過観察していたが,腫瘍経の増大やリンパ節の腫脹は認めなかった.2000年2月血中ACTH値の上昇及びCushing症候群の症状増悪を認め再入院となった.繰り返す全身検索によっても他に原因病巣と考えられる異常所見を認めず,また文献的に異所性ACTH産生腫瘍は胸腔内に存在する頻度が高いことから,肺内腫瘤をACTH産生腫瘍と診断し胸腔鏡下に手術を行った.右中葉は低形成であり胸腔鏡にて切除し得た.1cmに満たない腫瘤は黄色で弾性軟,被膜に包まれていた.病理組織学的に定型的カルチノイドと診断され,ACTH産生腫瘍の原因病巣と確診を得た.術後血中ACTH値は著明に減少し,Cushing症候群も改善を認め,術後10カ月後の現在,再発を認めていない.
索引用語:Ectopic ACTH producing tumor, Cushing's syndrome, Carcinoid, VATS lobectomy

受付日:2001年1月12日
受理日:2001年2月20日

肺癌 41 (2):161─164,2001

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