タイトル
第41巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

地方病院における胸部CT検診の現状―早期肺癌発見のための一つのこころみ―

稲村 宏紀1, 桐生 拓司2, 松井 英介2, 大橋 信子2, 星 博昭2, 叶 宗一郎3, 尾関 雄一4, 尾形 利郎4, 設楽 芳範5, 桑野 博行5
1自衛隊岐阜病院内科, 2岐阜大学放射線科, 3防衛医大第3内科, 4防衛医大第2外科, 5群馬大学第1外科

【目的】肺癌検診におけるCTの有用性の検討【対象・方法】最近4年間に当院に人間ドック目的で入院した男性1335人,女性19人の合計1354人.年齢は22歳から66歳で平均48.3歳である.検査項目は問診,喀痰細胞診,直接胸部単純写真(以下胸単),胸部X線CT(以下CT)である.CT導入前の胸単のみの検診1281人と比較する.【結果】CTを用いた検診では1354人中5人(0.37%)の肺癌が発見された(10万人対369).内訳は高分化型腺癌3例,低分化型腺癌1例,AAH 1例であった.低分化型腺癌の1例はMissed caseである.いずれも胸単では指摘できなかった.一方,CT導入前の胸単のみの検診では肺癌は発見できなかった.【考察】胸部CT検診の早期肺癌発見における有用性の報告は多くの施設によりなされている.今回我々の検討では,対象は比較的若年層であり,通年検診症例である.CT導入前の肺癌発見が1281例中0例に対し,導入後は1354例中5例であり1例を除き早期肺癌であった.費用効果などあらゆる側面からCTの有用性を検討すべきであり,また対象とする集団の年齢構成や職種などにより適切な検診方法を検討すべきである.
索引用語:Chest computed tomography, Lung cancer, Lung cancer screening

受付日:2001年1月11日
受理日:2001年3月16日

肺癌 41 (3):195─199,2001

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