タイトル
第41巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

限局性肺病変のすりガラス濃度に基づいた高分解能CT分類

栗山 啓子1, 西窪 美喜1, 鍔本 美津子3, 有澤 淳1, 黒田 知純1, 高見 康二2, 横内 秀起2, 東山 聖彦2, 児玉 憲2
1大阪府立成人病センター 放射線診断科, 2同 第2外科, 3大阪大学大学院医学系研究科D1,生体情報医学講座

肺腺癌の病理組織像で肺胞上皮置換性に進展する領域が高分解能CT(high-resolution CT:HRCT)において,すりガラス濃度(ground-glass opacity:GGO)として描出され,その病変に占める面積は予後と良好に相関する.この有用な画像所見であるGGOの占める面積比(%)に基づいて限局性肺病変を分類し,病理組織診断と対比検討した.1990年から1999年までに外科切除され,病理組織診断がなされた最大径2 cm以下の232病変に対し,HRCT上で腫瘤が最大面積を呈する画像における腫瘤影内のGGOの占める面積比を視覚的に定量し,10%未満(軟部組織濃度型),10%以上50%未満(軟部組織濃度優位型),50%以上90%未満(すりガラス濃度優位型),90%以上(すりガラス濃度型)に分類した.すりガラス濃度型の88%,すりガラス濃度優位型の60%は小型肺腺癌の野口分類のtype Aおよびtype Bの腺癌であった.軟部組織濃度優位型の51%はtype Cの腺癌,22%がtype A,Bの腺癌であった.軟部組織濃度型の35%は良性病変であり,28%がtype D,E,Fの腺癌,15%がその他の原発性肺癌であった.限局性肺病変をHRCT上でGGOの占める面積比で分類すると,肺腺癌の亜型分類を踏まえた良悪性病変の推測が可能であり,治療方針の参考となる.
索引用語:Lung nodule, HRCT, Pulmonary adenocarcinoma, Ground-glass opacity

受付日:2000年12月25日
受理日:2001年3月19日

肺癌 41 (3):207─211,2001

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