タイトル
第41巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

10年間の肺癌施設検診の検討

神谷 紀輝1,2, 森 清志1, 富永 慶晤1
1栃木県立がんセンター呼吸器科, 2現 北里研究所メディカルセンター病院外科

栃木県立がんセンターで10年計画で実施された経年施設検診の肺癌部門の結果を検討した.2500人を対象に,年1度の胸部写真と高危険群には喀痰細胞診を施行した.延べ総受診者26129名,要精検者938名(3.6%)精検受診数908名(96.6%)で発見肺癌は16例(10万人対比61)であった.13人に完全切除術が施行され,最終病期はI期7例,IIIA期7例,IIIB期1例,IV期1例であった.15例が肺野発生型で腫瘍径は平均2.6 cmで小型病変を発見した割には,I期例の割合が少なかった.喀痰細胞診の延べ総受診者は2555名で肺野型腺癌の1例のみにD判定が得られた.初回検診発見群と経年検診発見群の間には平均腫瘍径,病期の大差は認められなかった.今後より早い時期の肺癌を検診で発見するためには,さらに小型の肺野病変を指摘することに他ならない.現在CT検診の導入を予定しており,これによりI期肺癌の発見を増加させ切除率を高めたいと考えている.
索引用語:Lung cancer, Screening, Chest radiograph

受付日:2000年10月23日
受理日:2001年4月12日

肺癌 41 (3):213─215,2001

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