タイトル
第41巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

末梢型肺腺癌の脈管侵襲と予後との関連

太田 伸一郎1, 稲葉 浩久1, 吉田 浩幸1, 江藤 尚2, 本多 淳郎2, 中島 信明3, 室 博之4
1静岡県立総合病院呼吸器外科, 2同 呼吸器科, 3同 放射線科, 4同 病理

末梢型肺腺癌の脈管侵襲と予後との関連を検討した.1989年1月から1999年12月までに切除した末梢型肺腺癌344例全例を対象とした.平均観察期間は42カ月,5生率は68.2%であった.脈管侵襲別の5生率は,ly0v0群96%,ly0v1群75%,ly1v0群75%,ly1v1群65%,ly2,3 and/or v2,3(以下lyv2-3)群37%で,ly0v0群の予後は明らかに良好であった.ly0v0症例の97%はI期症例で,ly0v0症例はIA期症例の51%,IB期症例の23%を占めたが,IIA期以上の症例にはわずかであった.IA期症例の脈管侵襲別の5生率は,ly0v0症例98%,ly0v1症例100%,ly1v0症例96%,ly1v1症例84%,lyv2-3症例68%と,IA期症例においても脈管侵襲が軽度な症例の予後は良好であった.ly0v0症例の腫瘍径別の5生率は,腫瘍径が20 mm以下で96%,21から30 mmで96%,31 mm以上でも93%と,腫瘍の大きさにより予後に差を認めなかった.ly0v0症例における縮小手術の5生率は100%で,標準術式の5生率96%と比べても遜色は無かった.
索引用語:Lymphatic vessel invasion, Blood vessel invasion, Adenocarcinoma, Lung cancer, Prognosis

受付日:2001年3月8日
受理日:2001年5月8日

肺癌 41 (3):225─229,2001

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