タイトル
第41巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

Large cell neuroendocrine carcinomaの像を伴った肺小細胞癌の1例

安樂 真樹1,2, 津浦 幸夫1, 五十嵐 誠治1, 松隈 治久2, 神山 由香理3, 横井 香平2
1栃木県立がんセンター 病理, 2同 呼吸器外科, 3同 呼吸器科

患者は62歳の女性で,咳嗽,喀痰を主訴に来院した.胸部単純X線写真にて右中肺野に1.5 cm大の結節影を,胸部CTにて右上葉に同結節および縦隔リンパ節の腫大を認めた.喀痰細胞診にて腺癌と診断され,右肺上葉管状切除術を施行した.摘出標本による最終病理診断は小細胞癌(small cell lung carcinoma,以下SCLC)で,組織の一部にlarge cell neuroendocrine carcinoma(以下LCNEC)の像を伴うものであった.LCNECは1991年Travisらによって提唱され,1999年のWHO分類にて大細胞癌の亜型として記載された比較的新しく認識された組織型である.同腫瘍はSCLCとの鑑別がしばしば困難であることが指摘されている.本例では,両組織像が同一腫瘍内に連続性をもって認められたため,その解釈において興味深い症例と考えられた.現状としてSCLCとLCNECは鑑別が難しい部分があり,診断一致率も他の組織型に比べて低いこと,予後において両者に有意な差が認められていないことなどから,組織型としての独立性のみならず,臨床的な違いも含めて今後の検討課題であると思われる.
索引用語:Small cell lung carcinoma, Large cell neuroendocrine carcinoma, WHO International histological classification, Histologic diagnosis

受付日:2001年2月5日
受理日:2001年5月10日

肺癌 41 (3):259─263,2001

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