タイトル
第41巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

粘液非産生型末梢型早期肺腺癌のX線学的特徴,特にCT像と組織学的腫瘍間質増生弾性線維網との対比

江藤 尚, 鈴木 春見, 太田 伸一郎**, 中島 信明***, 本多 淳郎
静岡県立総合病院呼吸器科, 県立愛知病院臨床研究検査部, **静岡県立総合病院呼吸器外科, ***同 放射線科

粘液非産生型末梢型肺腺癌の組織学的に早期癌と考えられたtype1腫瘍1)2)44例で,X線所見,その経過を病理像と比較し,さらにthin-section CTで評価できた9例について内部構築を検討した.胸部単純X線では集束した淡い濃度上昇域としてみられ,その逆行性X線経過は極淡い濃度上昇域から始まり,次第に集束を増して濃度が上昇するが,ほとんど増大しない.CTでは限局性の比較的境界の明瞭な腫瘤影で,その内部構造はair spaceの豊富な淡い濃度上昇域内にvascular treeの輪郭が明瞭に認識される.陰影内で血管は互いに近接して分布し,陰影内集束を示唆していた.Alveolar collapseにより部分的濃度上昇域が胸膜側にみられやすい.これらのX線所見は,腫瘍全体の被覆肺胞壁長が短縮し,反応性に弾性線維増生で均等に肥厚した間質を形成する組織学的早期癌の特徴を忠実に反映している.
索引用語:Non-mucus producing peripheral lung adenocarcinoma, Early lung adenocarcinoma (type 11)2)), X-ray features, CT- pathologic correlation

受付日:2001年3月5日
受理日:2001年6月25日

肺癌 41 (4):305─312,2001

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