タイトル
第41巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

全身性強皮症に合併した重複肺癌に対する胸腔鏡下肺葉切除術の1例

狭間 研至1, 明石 章則1, 前畠 慶人1, 松田 良信2, 山下 博美2
1宝塚市立病院呼吸器外科, 2同 呼吸器内科

症例は71歳男性.肺線維症の経過観察中,腺癌が発見された.術前検査にて抗Scl-70抗体が陽性であり,全身性強皮症が疑われた.術前呼吸機能検査で,VC 1,430 ml(44.0%),FEV1.0 1,420 ml(100.0%)と拘束性換気障害を呈していた.臨床病期はT1N0M0 stage IAで,低肺機能症例であったため,胸腔鏡下左肺下葉切除術を施行し,術後経過は良好であった.病理組織検査では,S8の原発巣と,S6のブラ壁から発生した扁平上皮癌が認められた.病理学的検索および遺伝子診断より,本症例を重複癌と診断した.特発性肺線維症は肺癌の危険因子であるが,膠原病に合併した二次性の線維化肺にも肺癌は発生しやすいとされている.このような症例の手術に際しては,低肺機能のため術式の選択に苦慮する事が多い.根治性および低侵襲性の両立のため,胸腔鏡下肺葉切除術の適応を積極的に検討すべきであると考えられた.
索引用語:Lung cancer, Systemic sclerosis, Anti Scl-70 antibody, Video-assisted thoracic surgery

受付日:2000年12月8日
受理日:2001年5月29日

肺癌 41 (4):323─327,2001

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