タイトル
第41巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

胸腺腫に関連した赤芽球癆の3例

松岡 英仁, 坪田 紀明, 西尾 渉, 阪本 俊彦, 原田 洋明, 指方 輝正
兵庫県立成人病センター呼吸器外科, 同 病理

第1例は57歳女性.正岡II期の混合型胸腺腫に対し切除術を行った.併発する赤芽球癆は術後速やかに改善した.第2例は58歳男性.併発する正岡II期の混合型胸腺腫を切除した後,ステロイドホルモンの投与を行ったが赤芽球の上昇は認めず,サイクロスポリンに変更後改善した.第3例は75歳男性.赤芽球癆を伴わない正岡III期のリンパ球優位浸潤型胸腺腫の切除後2年目,頚部B-cell非ホジキン悪性リンパ腫の診断で放射線治療を受けた.その4年後,赤芽球癆を発症し,サイクロスポリンの投与で改善した.胸腺腫の完全切除術後に併発する赤芽球癆の改善がない場合,速やかにサイクロスポリン1 mg/kg/日を開始するべきである.また胸腺腫切除後,遠隔期に赤芽球癆を発症する例があり,この場合にもサイクロスポリンの投与は有効である.
索引用語:Pure red cell aplasia, Thymoma, Cyclosporin

受付日:2001年4月25日
受理日:2001年5月31日

肺癌 41 (4):329─332,2001

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