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第41巻第6号目次 Japanese/English

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─ 総説 ─

肺がん検診の有効性評価:厚生省藤村班での4つの症例対照研究

佐川 元保1, 2, 9, 中山 富雄1, 3, 塚田 裕子1, 4, 西井 研治1, 5, 馬場 孝1, 6, 栗田 雄三1, 4, 斎藤 泰紀1, 7, 金子 昌弘1, 8, 鈴木 隆一郎1, 3, 藤村 重文1, 2
1厚生省「肺がん検診の効果の判定とその評価方法に関する研究」班, 2東北大学加齢医学研究所呼吸器再建研究分野, 3大阪府立成人病センター疫学科, 4新潟県立がんセンター新潟病院内科, 5岡山県健康づくり財団厚生町クリニック, 6群馬県健康づくり財団, 7国立仙台病院呼吸器外科, 8国立がんセンター中央病院内視鏡部, 9金沢医科大学呼吸器外科

肺がん検診に関しては欧米での無作為化比較試験で有効性が証明できなかったが,厚生省成毛班,金子班の結果に続き,最近,藤村班の症例対照研究において有効性を示す結果が確定し,2000年のIASLC(世界肺癌会議)で報告された.4地区での結果では,肺がん検診受診によって肺癌死亡リスクを30~60%減少させることが可能と考えられた.しかし,他のがん検診では隔年受診でも有効という報告が見られるのに対して,肺がん検診ではそのようなことはなく,1回の検査での見落としが治癒の機会を失わせることを示唆していた.精度管理の不充分な検診は肺癌死亡減少にはつながらないことを銘記し,更なる水準の向上に努力すべきと思われる.また,財源一般化に伴い各自治体が検診を行う際の自由度が大きくなったが,自治体の判断の基準となる精度管理に関する情報公開は現在不充分であり,成人病検診管理指導協議会の活性化等を通じた情報公開を強力に推進することが肝要である.
索引用語:Lung cancer, Mass screening, Efficacy, Case-control study

受付日:2001年5月23日
受理日:2001年9月6日

肺癌 41 (6):637─642,2001

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