タイトル
第41巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺癌切除例における非癌部肺組織のThymidine Phosphorylase活性の臨床的意義

矢野 篤次郎1, 竹尾 貞徳2
1中津市民病院呼吸器外科, 2国立病院九州医療センター呼吸器外科

【目的】非小細胞性肺癌切除例における非癌部肺組織のthymidine phosphorylase(TP)活性と臨床的背景との関連を調べ,その生理的・病的意義について検討した.【対象・方法】対象は非小細胞性肺癌切除例39例.切除標本の癌部および非癌部より組織片を採取し,ELISA法にてTP活性を測定した(単位はUnit/mg protein).【結果】癌組織のTP値は平均226で,非癌部組織のTP値は平均46と癌組織において有意に高値であった.非癌部肺組織のTP活性は39例中26例で50以下であったが,最低症例10から最高症例136までのバラツキが認められた.非癌部肺組織のTP活性は年齢や肺機能(%VC,FEV1.0%)との関連は認められず,男性,高喫煙群(BI>600),CT上間質影の存在群において有意に高値であった.実際に,病理学的に非癌部肺組織に間質性の変化(炎症)が認められた9例の平均値は79で,8例が50以上であった.【考察】非癌部肺組織のTP活性の高値は炎症,特に間質性病変の存在を反映している可能性があり,呼吸器外科においてまれならず問題となる術後間質性肺炎の発症・急性増悪の予知因子としての有用性を今後検討する必要がある.
索引用語:Non-small cell lung cancer, Thymidine phosphorylase activity, ELISA assay, Brinkmann index, Postoperative interstitial pneumonia

受付日:2000年11月20日
受理日:2001年8月28日

肺癌 41 (6):649─651,2001

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