タイトル
第41巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

膿胸で発症した肺癌の1例

豊田 太1, 戸舘 亮人2, 山田 孝2, 安田 和雅2, 松下 晃三3
1磐田市立総合病院呼吸器外科, 2同 呼吸器科, 3遠州総合病院外科

肺癌の胸腔内穿孔により膿胸となった1例を経験したので報告する.症例は73歳男性で,右膿胸のため入院となった.局所麻酔下での胸腔鏡検査で線維素膿性期と診断し,胸腔ドレナージ,洗浄,抗生剤投与等を行った.肺の再膨張は比較的良好であったが,胸部CTにて中葉に原因と思われる病変が存在し,肺化膿症,肺癌が考えられた.肺瘻が改善しないため,入院8日目に手術を施行した.中葉に穿孔を伴う肺癌を認め,中葉切除並び剥皮術を行った.術後経過は良好で膿胸の再発はみられず,28病日に退院した.本症例のように肺癌の胸腔内穿孔が原因の膿胸であっても,線維素膿性期の膿胸であれば,胸腔ドレナージと洗浄により胸腔内を可及的に清浄化することにより,一期的な根治術が可能であると思われた.
索引用語:Lung cancer, Empyema, Surgical resection

受付日:2001年6月11日
受理日:2001年8月20日

肺癌 41 (6):673─676,2001

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