タイトル
第41巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

G-CSF産生肺肉腫と考えられた1例

佐久間 文隆1,*, 大石 明雄2, 津浦 幸夫3
1福島赤十字病院内科, 2同 外科, 3福島県立医科大学第2病理(現 栃木県立がんセンター病理)

症例は65歳男性.発熱を主訴とし,胸部X線上異常陰影の精査目的で入院となった.血液検査で白血球増多(31900/μl)を認め,分画では好中球が95%を占めた.経皮生検では未分化な悪性腫瘍と診断された.遠隔転移のないことを確認し,手術を施行した.腫瘍は出血と壊死が著明で散在性に膿瘍の形成を認めた.腫瘍構成組織は巨細胞を混じた大細胞癌様の病理像を呈する部分と類円形ないし紡錘形細胞の束状配列を示す肉腫様の部分が混在し,両者には相互に移行像が認められたが後者が90%以上を占めた.後者はケラチン陰性で間葉系マーカー(vimentin)と筋系マーカー(MSA)を有していた.以上より本症例は原発性肺肉腫と考えられた.免疫組織化学的にG-CSF陽性細胞が前者優位ながら,一部には後者にも認められた.術後化学療法を施行したが効果なく,肝転移,骨転移をきたし術後約4カ月で死亡した.血清G-CSF値は術前389 pg/mlと高値であったが術後77.9 pg/mlまで低下し,死亡する直前には167 pg/mlまで再上昇した.血清G-CSF値が腫瘍の進展状況を推測するのに有効である可能性が示唆された.
索引用語:Pulmonary sarcoma, Granulocyte colony-stimulating factor, Leucocytosis, Immunohistochemical staining

受付日:2001年7月16日
受理日:2001年9月4日

肺癌 41 (6):677─680,2001

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