タイトル
第42巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

2次元電気泳動法による肺癌蛋白解析で検出される蛋白Reticulocalbin-1とCDDPを中心とした化学療法との関係

竹川 広三1, 平野 隆1, 日吉 利光1, 中川 彩子1, 田口 史子1, 大平 達夫1, 池田 徳彦1, 海老原 善郎2, 加藤 治文1
東京医科大学病院 1外科第一講座, 2第二病理

目的.CDDP耐性肺癌培養細胞とその親株の蛋白の2次元電気泳動像からその耐性に関与すると見られる蛋白を検出し,臨床症例における影響を検討した.方法.肺癌培養細胞H69とPC14のCDDP耐性株とその親株での2次元電気泳動像を比較し明らかに発現量の変化した蛋白を検出した.1994年10月~1998年9月に外科的切除され2次元電気泳動による肺癌蛋白解析が施行された80症例を対象にこの蛋白発現と臨床病理学的緒因子および予後との関係を検討した.結論.CDDP耐性株で顕著に発現低下する分子量44.0 kDaの分子を検出した.この分子はN末端アミノ酸配列解析よりカルシウム結合性蛋白Reticulocalbin-1と相同な蛋白であった.この蛋白発現と臨床病理学的緒因子との関係に有意なものはなかった.しかし術後の白金製剤による全身化学療法施行症例にかぎりReticulocalbin-1相同蛋白発現例が低発現例に比べ有意に予後良好であった.Reticulocalbin-1相同蛋白分子が白金製剤の薬剤耐性機構に何らかの関与をしている可能性が示唆された.
索引用語:2次元電気泳動, Reticulocalbin-1, 予後, 生物学的悪性度, 肺癌

受付日:2001年10月11日
受理日:2002年2月8日

肺癌 42 (2):113─118,2002

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