第42巻第2号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
浸潤性胸腺腫に合併した悪性腫瘍随伴網膜症(cancer-associatedretinopathy:CAR)の1例
高橋 豊1,3, 中島 尊1, 小林 孝暢1, 玉田 二郎1, 大政 貢21倉敷中央病院呼吸器外科, 2京都大学病院呼吸器外科, 3現 神戸市立中央市民病院胸部外科
背景.悪性腫瘍随伴網膜症(cancer-associated retinopathy:CAR )は悪性腫瘍随伴神経症の一つで,網膜変性を特徴とし,上皮細胞由来の悪性腫瘍,特に肺小細胞癌に随伴することが多い.我々は浸潤性胸腺腫に随伴した稀なCARを経験したので2例目の報告をする.症例.41歳,女性.視力障害を主訴に受診,胸部X線・CT写真で縦隔腫瘍がみられた.血清中に抗アセチルコリンレセプター抗体の上昇,CAR自己抗体を認めた.重症筋無力症を合併したCAR・胸腺腫と診断され,ステロイドパルス投与を行った.視力障害は回復しなかったが,縦隔腫瘍は縮小した.開胸術を施行したところ浸潤性胸腺腫であり,拡大胸腺胸腺腫摘出を行った.術後に放射線治療を追加,ステロイドを投与,10ケ月後にCAR自己抗体は陰性化したが,視力は回復していない.結論.悪性腫瘍随伴網膜症は肺癌に合併することが多いが,浸潤性胸腺腫に発生した報告例は稀である.
索引用語:悪性腫瘍随伴網膜症, 浸潤性胸腺腫
受付日:2001年6月11日
受理日:2002年1月21日
肺癌 42 (2):119─123,2002