タイトル
第42巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺部分切除のみで長期無再発生存中の肺原発悪性線維性組織球腫の1例

大宮 英泰1, 齊藤 幸人1, 南 健一郎1, 庄村 裕三1, 今村 洋二1, 岡村 明治2
1関西医科大学胸部心臓血管外科, 2国際診断病理センター

背景.悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma,以下MFH)は中高齢者の四肢中枢側に好発する非上皮性悪性腫瘍で,成人軟部組織腫瘍中最も多いが肺原発は稀とされている.症例.症例は65歳,女性.胸部異常陰影に対する精査のため当科受診となった.胸部CTでは左肺S6に長径30 mmの腫瘤影を認め,原発性肺癌を疑い開胸肺生検を施行した.術中迅速病理で確定診断は得られなかったが,紡錘形肉腫の像であり平滑筋肉腫等の転移性肉腫が疑わしく,原発性肺癌は否定的であったため部分切除のみで手術を終了した.術後の病理診断はMFHで,他臓器の検索で原発巣の存在を認めなかったことから肺原発性MFHと診断した.結論.肺原発性MFHは予後不良で治療は外科的完全切除を原則とし,術式としては肺葉切除が妥当と報告されている.自験例は肺部分切除を施行し,術後追加治療を行わずに経過観察を行っているが,術後3年を経た現在においても再発徴候は認めていない.
索引用語:悪性線維性組織球腫, 肺, 免疫組織化学染色, CD68, 外科治療

受付日:2001年8月30日
受理日:2002年1月30日

肺癌 42 (2):125─128,2002

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