タイトル
第42巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

両側副腎転移によってAddison病をきたした肺腺癌の1例

木村 一博1, 外山 勝弘1, 梁 英富1, 北條 貴子1, 高木 啓吾2, 北澤 吉昭3
東邦大学医学部 1第一内科, 2胸部心臓血管外科, 3第二病理学

症例.48歳,男性.右上葉原発の腺癌(臨床病期IV期)に対して化学療法および放射線療法を施行後の外来通院中に嘔気,食思不振が出現し再入院となった.身体所見で口腔粘膜,歯肉,全身の皮膚に高度の色素沈着を認め,腹部超音波検査で両側副腎の腫大が確認され,血液検査で早朝の血清コルチゾール値は正常範囲内であったがACTH値が著増していた.そこで,肺癌の両側副腎転移によるAddison病であると考えHydrocortisone 100 mg/日の24時間持続点滴を施行したところ全身状態は改善したが,最終的には肺炎を合併して永眠した.剖検で両側副腎は肺癌の転移のため約10 cmに腫大し,ほとんどすべての組織が腫瘍細胞で置換されていた.結論.Addison病をきたした肺癌の副腎転移症例は比較的まれであるため報告する.
索引用語:副腎転移, アジソン病, 肺癌

受付日:2001年12月10日
受理日:2002年2月7日

肺癌 42 (2):135─138,2002

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