タイトル
第42巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

非小細胞肺癌における葉間p3症例の検討

鈴木 弘行1, 塩 豊1, 大杉 純1, 樋口 光徳1, 藤生 浩一1, 管野 隆三1, 大石 明雄2, 後藤 満一1
1福島県立医科大学医学部第一外科, 2福島赤十字病院外科

目的.現在の肺癌取扱い規約における胸膜浸潤の分類では,葉間p3を除くp3はT3と規定されるのに対し,葉間p3はT2と規定されている.本研究ではこれら胸膜浸潤に対する現分類の妥当性を明らかにすることを目的とした.方法.1988年から1997年の間に当教室にて手術を施行した原発性非小細胞肺癌319例中40例のp3症例を対象とした.全p3症例を葉間p3(Int.群)15例と他のp3症例(Non-int.群)25例に分け臨床病理学的因子および生存率,再発形式を検討した.結果.臨床病理学的因子の検討では群間に有意差を認めなかった.生存率の検討では,p3症例全症例における予後因子として抽出されたのはリンパ節郭清度のみであった.Int.群の5年生存率は44.4%,Non-int.群では19.4%であり,Int.群で予後良好である傾向を示したが統計学的有意差は認められなかった(p=0.3990).再発例の検討ではInt.群で6例(40%),Non-int.群で11例(44%)の再発を認めた.内訳では遠隔転移がInt.群で6例中5例(83.3%),Non-int.群で11例中9例(81.8%)といずれも高い割合を示したが群間に有意差を認めなかった.結論.本検討からは葉間p3例が他のp3例に比し予後が良好であるという結果は得られなかった.症例数を増やしさらに検討を要するものと考えられた.
索引用語:非小細胞肺癌, 胸膜浸潤, 葉間胸膜浸潤

受付日:2001年10月24日
受理日:2002年2月18日

肺癌 42 (3):163─167,2002

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