タイトル
第42巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

高齢者の進行非小細胞肺癌に対する化学療法

梁 英富1, 外山 勝弘1, 磯部 和順1, 杉野 圭史1, 佐野 剛1, 山田 浩之1, 廣井 眞弓1, 北條 貴子1, 木村 一博1
1東邦大学第1内科

目的.高齢者の進行非小細胞肺癌に対する化学療法の安全性と有用性について検討した.対象・方法.最近5年間に化学療法を施行した非小細胞肺癌192例を対象として,70歳以上の高齢者群49例と70歳未満の非高齢者群143例の2群に分けて患者背景,治療内容,血液毒性,治療効果,生存期間を比較検討した.結果.高齢者群ではperformance status:0~1と臨床病期III期の比較的条件の良い症例が多くを占めていた.高齢者群の71%にcisplatin(CDDP)が併用されており,治療内容,血液毒性,抗腫瘍効果については両群間に有意差を認めなかった.しかし,75歳以上では半数の症例で投与量が減量され,投与回数も少ない傾向がみられた.さらにCDDP併用群ではGrade 3以上の血液毒性の発現率が77%と非常に高度であった.生存期間中央値は高齢者群32週に対し非高齢者群24週と高齢者群で有意に優れていたが,減量投与された高齢者群の奏効率は低く予後も不良であった.また,多変量解析ではPS,臨床病期,組織型,抗癌剤投与量が有意な予後因子であり,年齢は有意な予後因子ではなかった.結論.高齢者でも選択された症例に対しては非高齢者と同等の毒性と治療成績が得られ,高齢者に対する化学療法の有用性が示唆された.しかし,75歳以上の症例ではCDDPを含まない高齢者レジメンが必要であると考えられた.
索引用語:肺癌, 高齢者, 化学療法

受付日:2001年11月16日
受理日:2002年3月13日

肺癌 42 (3):175─179,2002

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