タイトル
第42巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

経時的な組織亜型の進展が推測された肺腺癌の1例

安達 勝利1, 保坂 直樹2, 高尾 仁二5, 田村 邦宣3, 三村 令児3, 松尾 寿保4
公立豊岡病院 1心臓血管呼吸器外科, 2臨床病理科, 3呼吸器科, 4放射線科, 5三重大学胸部外科

背景.今回我々は,経時的な組織亜型の進展が推測された肺腺癌の1例を経験したので報告する.症例.症例は40歳女性.1995年10月健康診断にて左下肺野に腫瘤を指摘されたが,確定診断できず経過観察となった.2000年4月に腫瘤の増大を認め,精査したところbronchioloalveolar carcinoma(mucinous type)と診断された.左肺下葉切除,ND1郭清を施行し,病理組織学的に(1) bronchioloalveolar carcinoma(mucinous type, without stromal invasion),(2) papillary adenocarcinomaが隣接してみられ,H.E.染色で(1)と(2)は移行像を呈していた.免疫染色でp53とbcl-2は(1),(2)ともに陰性で,Ki-67とPCNAではいずれも(1)は約2割が染色されたが,(1)と(2)の移行部は染色部が強くなり,(2)は約8割が染色された.EVG染色で(1)は弾性線維が保たれているが,(2)は弾性線維の断列を認めた.結論.本例はbronchioloalveolar carcinomaがpapillary adenocarcinomaに進展した興味深い1例と考えられたので報告する.
索引用語:肺癌, 細気管支肺胞癌, 乳頭状腺癌

受付日:2001年6月13日
受理日:2002年3月5日

肺癌 42 (3):191─195,2002

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