タイトル
第42巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺門型早期扁平上皮癌に対する肺切除を伴わない気管支形成の経験

鈴木 聡1, 保坂 智子1, 新川 弘道1, 羽隅 透1, 渋谷 丈太郎1, 半田 政志1
1仙台厚生病院外科

背景.われわれは早期扁平上皮癌に対して肺実質を切除しない気管支形成を行った.症例.症例は69歳,男性.主訴は血痰.胸部X線写真では異常を認めなかったが,気管支鏡検査で右上葉気管支/中間幹分岐部に限局した隆起病変を認め,その生検で扁平上皮癌と診断された.胸部CT写真では壁外浸潤はないと判断された.また,有意なリンパ節腫大も認められなかった.右後側方切開で第5肋間から開胸し,右上葉気管支/中間幹分岐部をスリーブ状に切除したのち単結節でテレスコープ状に吻合した.2群リンパ節郭清を行った.術中迅速診断で気管支断端の近位側と遠位側に腫瘍の遺残がないことを確認した.切除された腫瘍は中分化型扁平上皮癌で気管支軟骨への浸潤が認められたが壁外浸潤はなかった.リンパ節転移は認められなかった.術後の胸部レントゲン写真では全ての肺葉の含気が良好で,気管支鏡検査では吻合部は上葉気管支,中間幹とも開存が良好であった.肺機能検査成績も良好に維持された.結論.早期の扁平上皮癌のなかには,本症例のように肺実質の切除を伴わない手術法が適応できる症例がある.
索引用語:早期扁平上皮癌, スリーブ切除, 気管支形成, 肺機能検査

受付日:2002年1月28日
受理日:2002年3月13日

肺癌 42 (3):197─201,2002

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