タイトル
第42巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

術後12年で発見された子宮筋腫多発肺転移の1例

富田 剛治1, 野崎 善成1, 荒能 義彦1
1済生会高岡病院外科

背景.平滑筋腫は組織学的に悪性像を示さないにもかかわらずリンパ節や遠隔臓器への転移を起こしうるとの報告がある.子宮摘出後12年で発見された子宮筋腫多発肺転移の1例を経験したので報告する.症例.患者は50歳の女性で胸部異常陰影を主訴に当科紹介となった.既往歴としては38歳時,子宮筋腫に対して子宮全摘術がある.胸部単純X線写真,胸部CTで両肺野に5~20 mm大の小結節を多数認めた.また,腹部CTでは骨盤腔に径約8 cm大の辺縁明瞭な腫瘤が認められ,肺腫瘍の原病巣と考え切除したところ組織学的に平滑筋腫であった.他部位の悪性腫瘍の肺転移を疑い全身検索を行ったが病変を認めず診断目的に胸腔鏡下に右肺下葉S9の腫瘍を切除した.肺腫瘤は組織学的に良性の平滑筋腫と診断された.12年前の子宮筋腫,骨盤内腫瘍の組織所見と類似であり,子宮筋腫の肺転移であると診断した.結論.治療については,外科的腫瘍切除が有効であると考える.
索引用語:多発肺腫瘍, 良性転移性平滑筋腫, 子宮全摘

受付日:2001年10月23日
受理日:2002年3月19日

肺癌 42 (3):203─207,2002

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