タイトル
第42巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

TTF-1の免疫染色が胃転移の診断に有用であった肺腺癌の2例

鈴木 勇史1, 樋田 豊明1, 堀尾 芳嗣1, 陶山 元一2, 谷田部 恭3, 杉浦 孝彦1
愛知県がんセンター 1呼吸器科, 2胸部外科, 3遺伝子病理診断部

背景.肺癌の胃転移は比較的稀であるが,原発性胃癌との鑑別が困難なことがある.Thyroid Transcription Factor-1(TTF-1)は肺,甲状腺,前脳の一部に発現されている核転写因子で,組織特異性が高いため組織診断マーカーとして使用されている.症例.症例1は56歳,女性.肺腺癌cT1N0M0 stage IAの診断で左下葉切除を施行した(pT1N2M0 stage IIIA).9ヶ月後心窩部痛が出現したため上部消化管内視鏡検査を施行したところ胃粘膜病変を認め,TTF-1の免疫染色にて陽性所見を得た.症例2は52歳,男性.肺腺癌cT4N2M0 stage IIIBと診断し胸膜癒着術,化学療法を施行した.化学療法2コース施行後胃部不快感が出現したため上部消化管内視鏡検査を施行した.胃粘膜下腫瘍を認め,TTF-1の免疫染色にて陽性所見を得た.結論.肺癌の胃転移は診断に苦慮することがあるが,TTF-1の免疫染色が肺腺癌の胃転移の補助的診断に有用であったので報告する.
索引用語:肺癌, 胃転移, Thyroid transcription factor-1

受付日:2002年1月28日
受理日:2002年3月28日

肺癌 42 (3):221─225,2002

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